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ポケモン対戦記

リージョナルに参加した理由

Every Pokemon Championship event in 2023: Dates, locations & Prizes -  Dexerto

 

Dumboです。今回は、自分が今年から海外の大型大会「リージョナル」に参加し始めた動機について語ろうと思います。ただの個人的な後語りになりますが、たまにリージョナルの結果に現れる日本人プレイヤー何者?に関する裏話に興味があればぜひ。

 

 

リージョナルに参加した理由1

自分が初めて参加したのは 2024 Toronto Regional でしたが、結論から言うと、当時参加した主な理由は「英語を話す機会を広げたい」からでした。背景も含め説明します。

 

英語力を改善したい

実はレギュレーションDが始まった頃から、個人的な事情でポケモン対戦へのモチベーションが完全になくなっていました(モチベーションを失っていた理由は、少し話が重くなってしまうので割愛します)。去年のWCSも実は見ていません。ではなぜ戻ってきたかというと、少し実生活の話に関わってきます。

自分はアメリカのPhDプログラム(日本でいう博士課程)に留学していて、普段は海外で暮らしています。しかし、自分は英語が大の苦手です。もちろん留学するためには英語能力の水準の要件がありますので、客観的に見れば他の日本人と比べても一定水準の英語力はあるのですが、PhD学生の中ではかなり底辺にいると自覚しています。特に、英語を話すことがあまり得意ではないです。しかし、今後も海外に残ることを少し視野に入れており、この問題は一刻も早く解決したいと思っていました。

アメリカにいれば自然と英語力が上がるのでは、と思われるかもしれませんが、実際はそんな単純ではありません。日本人の特徴として、英語の読み書き能力は比較的高く、それらに苦しむことは実生活上でもあまりないと思います。問題になってくるのは、聞く話すなどのオーラルコミュニケーションです。特に、話すことに関して言えば、英語を「話せる」と「普通に(適切な発音で流暢に)話せる」には大きなギャップがあります。そして、普段海外で暮らす分には、英語を「話せる」状態であれば、意外と何とかなってしまいます。言い換えれば、英語を「普通に話せる」ようになるための環境的な切迫感が、思っている以上に小さいです。ただ海外に住んでいるというそれ自体だけでは、英語を「普通に話せる」ようになる十分な練習には必ずしもなり得ないことがほとんどです。

 

英会話の機会を広げたい

では何が必要かというと、実際に英語を話す機会を意図的に増やすしかありません。そういった機会は、海外における自身のメインのコミュニティ(自分の場合は大学)やオンライン英会話などのサービスでも十分に得ることが可能です。しかし、自分は以下に挙げる理由から、これだけでは「普通に話せる」ようになるにはまだ十分でないと感じました。

  1. 特定の内容だけ話し慣れてしまう。特に自分の置かれた環境に当てはまるのですが、アカデミアでは研究に関する専門的な話になることが多く、専門分野に特化したコミュニケーション能力には自然と長けてくるのですが、日常の一般的なやり取りの表現が豊かになるかといえば、必ずしもそうとは限りません。
  2. フォーマルな英語しか話せない。大学や学会などで話される英語は、比較的フォーマルなもので、聞き取り安く、話しやすいものです。しかし、英語ネイティブ間で話されるスラング込みでのラフな話し方に関しては、全くついていけなくなることが多いです。オンライン英会話にも同じような欠点を感じました。実際に練習で話すような英語と、現地でラフに話されている英語には、一定のギャップが存在します。
  3. 非ネイティブに寛容。海外の大学には留学生も多いため、また、オンライン英会話ではそもそも話し慣れていない人がサービスを受けるため、我々の英語を聞く側も非ネイティブの話し方、発音に慣れてしまっていることが多く、完璧に英語を話せていなくとも、言っている意味が聞き手に伝わってしまう場合が多いです。したがって、その場では伝わったと思っていても、非ネイティブの話し方に慣れていないネイティブ相手には違和感のある発音、話し方をしている可能性があります。この寛容さ自体は我々にとっては非常にありがたい対応なのですが、こと言語の習得においては、正しい言語の使い方が厳格に求められる環境に身を置くことも時には大事です。

こういった観点から、英語を話すことができる自身のコミュニティを別にも広げたいなと感じていました。とはいえ、英語を話すためだけに、自分のよく知らないコミュニティにいきなり参加することにはハードルがあります。加えて、英語を話すことだけを主目的にした活動は基本長続きしません。英語を向上させる上で一番大事な要素は、やり方でも効率でもなく、モチベーションです。やはり、コミュニティの活動自体にモチベーションを維持でき、英語を話すこと自体は副次的なものとして考えられる、すなわち、コミュニティで活動するために英語で話せなければならないといった状況が望ましいです。

 

 

そこで、リージョナルに参加してみようと思い至ったという次第です。こういうのには、趣味を利用することが一番手っ取り早いです。アメリカに渡る前から、英語を聞き流す機会としてリージョナルの配信はよく見ていたし、実際どんな感じなのかにも興味があったので、一度参加してみようかなという気になりました。当時モチベーションを失っていたわけですが、対戦自体は楽しいし、こういう新たな目的のためでもあればと再開しました。正直、リージョナルが適切な英会話の練習の場であるかは疑問です。それこそ話す内容に特定の偏りがありますからね(Parting Shot なんて、普通の会話でまず使いません)。しかし、先に述べたように、英語の向上にはモチベーションが欠かせないので、少なくともその意味での貢献は大きかったんじゃないかと事後的には思っています。

以上が 2024 Toronto Regional, Charlotte Regional に参加しようと思った主な理由です。

 

 

 

ちなみになぜか2連続で Day 2 進出していたわけですが、こういう背景から参加していたことを踏まえると、当時の自分の心中をお察し頂けると思います。

 

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リージョナルに参加した理由2

続く 2024 Vancouver Regional, 2024 Orlando Regional に参加しようと思ったのには、上記以外にも「周りのプレイヤーに追いつきたい」という別の理由がありました。

 

トッププレイヤーとの出会い

過去2回のリージョナルでは Day 2 に進出したのもあり、我々も良く知るトッププレイヤーと戦ったり出会ったりする機会にも恵まれました。その中でも個人的に大きかったのは、Donghun Youm と Kazuki Kanehira との出会いです。Donghun は 2023 Milwaukee Regional 優勝者で、彼とは Toronto Regional の Day 2 で戦いましたが、その時にめちゃくちゃプレイングを気に入られて、それ以来自分のことも色々と気にかけてくれています。Kazuki Kanehira とは Charlotte Regional の Day 2 で同じペリジュラスを使っていたことをきっかけに話し始め、その後いろんな海外強者達に僕のことを紹介してくれ、構築相談にも乗ってくれています。前2回のリージョナルの戦績がたまたま良かったことからこうした好循環が生まれ、様々なトッププレイヤー達に自分のことを知ってもらえる機会が増えたのは、素直に嬉しかったし、大きな刺激になりました。彼らとの出会いは、VGCそのもの自体へのモチベーションをもたらす大きな要因でした。

 

周りと並べる結果を残したい

強いプレイヤー達と接する機会が増えた反面、まだ海外でVGCを始めて時間が浅いのもあるのですが、やはり彼らの持つような功績が自分にはないため、時に本当に自分がそういう界隈にいていいのか不安になります。Day 2 しているとはいえ、やはり Top 32 以上というような目立った実績もないので、見る人から見れば所詮は大したものではないのでは、と思うこともしばしばです。そういうわけで、Charlotte を終えたあたりから、単に英語の練習をしに行くという目的に加えて、次以降のリージョナルでは彼らに並べる結果を出したいなと考えるようになり、Vancouver と Orlando に参加を申し込みました。この2回に関しては、前2回に比べても10倍以上はOTSBO3の練習をしていたと思うし、意気込みもそれまでの大会よりもはるかに大きかったと思います。

 

 

 

ちなみに2連続で 6-3 で Day 1 落ちしたわけですが、こういう背景から参加していたことを踏まえると、当時の自分の心中をお察し頂けると思います。

 

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よくなかった点

以上が自分がリージョナルに現れるようになった理由なのですが、2つ目のモチベーションに関連して、自分が陥った失敗についても触れておきたいです。

Vancouver では2つ目のモチベーションが強すぎたため、少し良くないことが起こってしまいました。それ以前のリージョナルでは、元の理由が英語を話す練習ということもあり、対戦相手とも対戦前に自分から自発的に話を持ちかけたりしていたのですが、この大会に関してはとにかく Day 2 は行ってくれないと困ると思っていたので、対戦前にも試合に集中したくて会話はあまり持ち込みませんでした。結果何が起こったかというと、負けた対戦相手にイライラや意気消沈を露骨に見せつけられました。自分の運勝ちが絡んだラウンドは仕方がないかと思っていたのですが、そうでない場合でも同様で、試合後の会話も基本的にありません。これでは何か元も子もありません。本当にこの Vancouver での体験が不可解で、このゲームやる意味ある?と一時期思うようになりました。それで結果も 6-3 で Day 1 落ちですからね。このリージョナルに関しては、本当に何も得ていないです。会いたい人には会えたけど。

流石に Orlando では反省し、以前と同様に試合前にも色々と話したりしていましたが、勝っても負けても対戦相手は割と明るく話してくれました。翌日に同じホテルでたまたま見かけて話しかけてくれたりもした人もいたし、本当に Vancouver みたいなことはしちゃいけないなと思いました。リージョナルに参加したい理由としては、こういうコミュニティ的な側面が一番大きく、価値があるものだと感じました。

 

今後のVGCとの向き合い方

まず、1つ目のモチベーションであったりとか、海外VGCコミュニティとのつながりは持ち続けたいなというのが率直な希望です。一方で、2つ目にあげたモチベーションを継続できるかに関しては怪しいですし、そもそも必要ないのかもしれません。というのも、少しVGCに労力を掛けすぎてしまって、本業が疎かになっていると感じているためです。もともと職柄的に公私の境界というものが非常に曖昧で、本業の研究活動も一種趣味の領域です。そういう意味でも、努力したい方向性のベクトルは本業とVGCで被っています。ただ、研究に向き合っていると終わりというものがなく、いくらでも時間を使えてしまうため、何かと両立すること自体が妥協のように感じてしまうところがあります。なので、自分的には気分転換にポケモンに触る程度がベストで、そういう意味だと、リージョナルに行くとしても、あまりCPや練習の事は考えずに、時折遊びに行くくらいがちょうどいいかなと思っています。きちんと競技者として取り組めないことは、周りの友人達には少し申し訳ないと思っているけど、自分には荷が少し重かったよ。

とはいえ、彼らの構築作成はこれからサポートすると約束したので、全然VGC界隈にはいると思います。それに、構築編み出すためにはちゃんと本人も対戦環境を把握していないといけないので、ガチ対戦自体はどちらにせよ普通に続けます。費やす時間に制約は掛けるし、自分が競技者としてCP集めるつもりはもうないってだけ。それでガチな構築が出来上がるのかは分かりませんが、やれるだけやってみます。まあこんなこと書いておいて何だけど、知らん間に500CP集まってるかもしれないしね!

 

 

では願わくは次の構築記事で!

 

 

余談。すでにレギュGの構築の話し始めてる。